ドイツのヒップホップ・レーベルであるレディオ・ジューシーから、ラップ・アルバムが届けられました。このレーベルの作品はインストゥルメンタルのものが多い印象があるので、この手の作品はなかなかめずらしいような気がします。OmaureなるドイツのMCの作品です。
暗く暗く、あくまでも暗ーい路地裏を行く……といった趣の、色気のあるソウルとキザなジャズの味わいを加えた、ダークなヒップホップを展開しています。モクモクとした煙たい音とボクボクと鳴るくぐもったリズムが重なり合った、暗い色合いのトラックが暗い雨雲のように全体を覆っています。
そしてOmaureのラップには暗闇の中でギラッと光る刃物を思わせる暗い輝きと、シャシャシャッと紙を切るぜみたいな鋭さが。声そのものは若々しいのですが、ラップにはどこか老成したようなところがあるような……、そう思うのはなぜでしょう。
曲ごとにプロデューサーが異なるわりには、どれも同じような雰囲気の曲に仕上がっており、全体がコンパクトにまとまっています。