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共12首歌曲
美しいアルバムだ。津軽三味線のアルバムを美しいというと誤解を与えるかもしれないが、ここにある音楽の自然体でのたたずまいが美しいのだ。端正といってもいい。力強さと繊細さ、荒々しさと優雅さ、素朴と洗練、迫力と柔軟などを自然に融合し、津軽三味線の持つ多彩な魅力を引き出している。この数年、僕(たち)は津軽三味線の大音量と粗いうねり、リズムというよりビート、トリッキーなフレーズと早弾きなど迫力追求の激しい演奏に慣らされてきた。まるでロックの一時代前のギター・ヒーローを思い起こすほどだ。津軽三味線奏者には、もともとそうしたパフォーマンスやハッタリも必要だと思う。しかし、それ一辺倒では津軽三味線の魅力を歪めてしまうのではないか。そこに木下伸市の演奏である。ゆったりしたリズムに緊張を与え、単純なフレーズに豊かな表情を加え、超絶のテクニックをいとも易しく。まさに正統津軽三味線の魅力を網羅した名演集である。