「メンバー5人納得できたアルバムが出来ました!」山口一郎の自信に満ちた口ぶりがとても嬉しかった。そのアルバムとは、源流北海道に生息した魚“サカナクション”3rd ALBUM「シンシロ」だ。タイトル「シンシロ」は、昨年春に北海道から上京して、新たに制作手法を変えて臨んだというアルバム11曲を“新しい白 (=NEW WHITE)”“真白=シンシロ”という意味で名づけたと本人から初めて聞いた。彼らのやりたいイデオロギーは、北海道でも東京でも基本的に変わっていないと感じる。ただ、東京という都会で彼らのポジションが広い視野の中でより明確になったことと、生み出すセンスのオリジナリティとテクニカルな選択肢が増えたことで急速に自分たちのやりたい音楽の世界が広がり、“成長魚”のように今の彼らが捉える新機軸を掴んだのだと感じる。「シンシロ」には、そんな新しいバンドに成長した彼らの喜びが満ち溢れているように感じる。だから理屈抜きに、体で聴いて感じて欲しい。そして「シンシロ」というアルバムを肌で感じたら、彼らの生音を実感せずにはいられないだろう。それは早くライブで体感して欲しいと思う。