デビュー20年というアニバーサリー・イヤーに発表される記念碑的フルアルバム。'70年代のデヴィッド・ボウイが'00年代モードと共に蘇ったようなロック・ミュージカル風ナンバー「Mr. Darkness & Mrs. Moonlinght」、天使と悪魔がステップしている映像が浮かび上がってくる近未来的シャッフル・チューン「リリィ」、妖しくもダークな音像を撒き散らしながらグルーヴしてくロカビリー「La vie en Rose~ラヴィアンローズ」、ヒリヒリと繊細なエモーションを響かせる幻想的ミディアム「SNOW WHITE」。オーバーダビングを抑え、5人のメンバーによるダイレクトなバンド感を軸にした本作で彼らは、パンク、ゴシック、ヘビィロック、ニューウェイブといったイディオムをしっかり踏襲しながら、しかし、きわめて斬新な手触りのロック・ミュージックを描くことに成功している。ロック・バンドというスタイルは決して朽ちることがない。自由なセンスと枠にはまらないアイデアがあれば、いくらでも刺激的なサウンドを生み出すことできるのだ――このアルバムを聴いていると、ついそんなことを思ってしまう。(森朋之)