現在のところラストアルバム。湾岸戦争がきっかけなのか、ニューヨーク在住の日本人という国際人感覚から「地球でのできごと」という副題がついたようなのだが、説教臭さ思想臭さは全くない。 前作の本格臭から、渡米前のいつものチープキッチュな歌謡曲方向に多少針を戻していて、これはいいアルバムですぞ。 ラテンで無国籍でディスコで、これこそめいこさんってなもんですよっっ。 「鏡の中のアクトレス」とともに、泥臭さと洗練のバランスが一番いいアルバムかもしれない。
アレンジは前作と同じく中村哲との共同アレンジで、当時流行ったハウスっぽい、薄い打ち込みをメインにした音作りなのが、ちょっと残念かなぁという感じだけれども、 そこにブラスセクションが絡むと、やっぱ痛快です。
「サバンナの夢」から「To the storm -嵐の中へ-」はもう最高だし、 「Miami Dream -Don’t be shy-」「サンバ・セニョリータ」といったラテンテイストの遊び心は、やっぱりめいこ節。 「ABCD!」「Imitation Lover 」はハウスど真ん中なアレンジでちょっと今聞くと恥ずかしいけれどもね。
筒美-郷ラインのラテン・ディスコ歌謡路線をひとり追及していた中原めいこさんですが、「鏡の中~」とこのアルバムでひとつの世界を完全に作り上げたといってもいいかな。 歌謡曲は世界を巡るのです。
そんな「これからもまだまだいける」という確信に溢れた一枚なのに、これで歌手活動がおしまいなんて惜しすぎるぅ。また作家としても2000年頃まで、早見優、ビビアン・スー、チェキッ娘などへ提供で名を見かけたが、ここ数年はまったくという状況。 むむむむむ。もったいないなぁ。残念っっ。