バンド史上初のシングルは、実験的かつ挑戦的な野心作
昨年発表された初のフルアルバム『動物の身体』からのリードトラック“ 地下鉄の動態” のミュージックビデオ(director:大西景太)が、第16 回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で新人賞を獲得。今年に入ってからは中心人物の照井順政がPeople In The Box のツアーでサポートギタリストを務めるなど、バンドを取り巻く状況がさらなる広がりを見せる中、初のシングル『reflection』が完成!
「『動物の身体』がある意味総括的な内容であったということもあり、実験的な要素を含んだ挑戦的な内容にしたいと思って作りました。音楽というよりも、音を用いてひとつの現象を作り出すというような試みを、いかにポピュラー音楽の枠組みに落とし込むかというような挑戦になりました」(照井順政/ Gt)
照井の言葉通り、本作にはバンド初の試みが多数盛り込まれている。1 曲目の“mirror” と2 曲目の“reflection” は対になっていて、流麗なストリングスをフィーチャーしつつ、ミニマルかつドープに仕上げた“mirror” に対し、“reflection” は“mirror” をエディットし、生演奏や電子音を重ねて完成されたもの。しかも、“reflection” の途中までは、彼らの曲の顔であるはずの鎌野 愛のボーカルが一切出てこないという大胆さ。
情報社会の中での人間の精神と身体の変容、それらと都市の風景との関係性という、彼らが一貫して追い求めているテーマが、本作ではこの2 曲の対比によって描かれているのだ。ドラムの中村圭佑が作曲し、照井淳政のベースリフが先導する「動」の曲調が、他の2 曲とは異なる魅力をアピールしている3 曲目の“in motion” も含め、全編が聴き所の強力盤である。