月に発表された 1st mini album『一番はじめの出来事』に続く新作は、the cabs が デビューからわずか半年の間に飛躍的な成長を遂げたことを証明する一枚。元々同世 代の中では突出したプレイヤビリティを持つ 3 人は、さらに個々のスキルを向上させ、 よりスリリングかつ、高いインテリジェンスも感じさせる見事なアンサンブルを奏で ている。繊細さの中に強い意志を感じさせる首藤義勝の歌声、暴力的な中に若さゆえ のナイーヴさも秘めた高橋國光の絶叫、中村一太の爆発的なドラミングのコントラス トも、前作以上に鮮やかである。また、まだまだ発展の途上にあるとはいえ、ポップ に振り切れることなく、エッジの立った刺々しさを維持していることは大きな個性と 言っていいだろう。この棘があるからこそ、彼らの世界観の背景にある儚さがより強 調されているのだ。 ポップとエッジの水際に立ち、その双方からの支持を集める可能性を持ったバンド、 それが the cabs である。