細野晴臣のソロ・アルバム色の強かったファースト・アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』に比べ、本作は高橋幸宏・坂本龍一の曲が中心となっている(細野作曲は全8曲のうち2曲のみである)。また、フュージョンの要素が一掃され、ディスコ、ニュー・ウェイヴ色が強くなっているのも特徴である。
当初、アルバムタイトルは「メタマー」(「突然変異」を意味する「Metamorphose」の造語)と付けられていた。
YMOの全作品の中でもポップで明るい曲調が多いこの作品は、まさにYMOを代表するアルバムである。そのわかりやすい内容から日本において小・中学生を含めた一般のリスナーに熱狂的に受け入れられた。本作のリリース後ワールド・ツアーに出ていたYMOは、ツアー先で日本国内での本作のヒットの報を聞き、大変驚愕したと後に語っている。本作は結果的にミリオンセラーを記録し、翌1980年の日本レコード大賞アルバム賞を受賞。日本でのいわゆるテクノ・ポップ全盛時代をつくり上げ、その後の「YMOチルドレン」と呼ばれる日本のミュージシャンたちが最初にテクノ・ポップに触れたきっかけをつくったという点で、非常に重要なアルバムと言えよう。
収められている楽曲も、前述の「RYDEEN」や「TECHNOPOLIS」はYMOを代表するものであり、「BEHIND THE MASK」は後にエリック・クラプトンらがカヴァーするなど海外で高く評価された。
A面(1〜4曲目)は最後の「CASTALIA」を除いて、ダンス・ミュージックを意識し楽曲がつないであるが、B面(5〜8曲目)はロックやニュー・ウェイヴの影響が色濃く出ている。このアルバムの発売当時、YMOはニュー・ウェイヴに傾倒しており、市場戦略的に行なったフュージョン、ディスコなどの米国音楽へのアプローチから、徐々にメンバーの興味を起こさせる英国・欧州の音楽志向に移行していった過渡期のアルバムと言えるかもしれない。ディーヴォによるローリング・ストーンズの「サティスファクション」のカヴァーに影響された、ビートルズのカヴァー「DAY TRIPPER」(ぎくしゃくとしたニュー・ウェイヴ的アレンジである。高橋の要望とされる説があるが、後に高橋は、「僕が要望するならジョージの曲をやる」と語っている)や、パンク的要素を取り入れた「SOLID STATE SURVIVOR」(メンバーは「デジタル・パンク」と呼んでいた)などにその一片が見受けられる。