巨大すぎる音魂、吐き出すようなビート、先鋭的Jロックの旗手としてミュージシャンたちから敬愛され、米国でもその筋では堅い認知度を保持してきた”Heavy Rock”スタイルを掲げるバンド、BORIS。
銅鑼を背負ったバカでかいドラムセット、巨大な二層オレンジアンプを自在に操る華奢な細腕、ダブルネックから放たれる超重圧ベース。最もシンプルなトリオ構成の限界に挑戦するかの如く見た目の圧倒感をシンボルとし、最も新しいシーンに立つロックの礎を築いてきた一方で、アンビエントな繊細さ溢れる作品をも提示する。加えてスタイリッシュなアートワークのノベルティーや映像制作等、音と反比例する特異なポップスタイルで自己プロデュースを自在に展開させてきたことも定評だ。ただし、本人たちの素養とは裏腹にストイックな姿勢ばかりが際立ってきたのも周知の事実だった。今回、彼等は新世紀に入って最初の新譜を発表する。ゆっくりと時間をかけて作りあげられたものだ。完成したアルバムは、周囲を取り巻いていたネガティヴな誤解を解く、曇りのない最もシンプルな作品として提示された。活動歴の長い昨今のロックバンドがそうであるように、時代の流れは解釈を変えていく。若く率直な解釈が時代の到来を先導するようにどうやら、BORISにもその機会が訪れようとしているようだ。
92年結成、女性ギタリストを含むトリオ・バンドの新作。タイトルが示すとおり、重圧感いっぱいのヘヴィなロックを展開する。メタル的な要素は少なく、むしろパンキッシュ。パット・メセニーをノイジーにしたようなインスト曲もあっておもしろい。