グループ名はスタイル・カウンシルの『カフェ・ブリュ』収録曲に由来。4作目のオリジナル・アルバムとなる本作も80年代およびその前後への憧憬に満ちている。クリストファー・クロスがバート・バカラックらと共作して81年にヒットさせた(9)のカヴァーは直接的なリスペクトだが、当時を知る筆者にとってはむしろ、いくつかの自作曲が醸す既視感が面白かった。ラテンを基調とした(2)のアレンジはマット・ビアンコを彷佛とさせる。バーシアと同じように涼しげなミズノマリのヴォーカルがサウンドと合うのも当然だろう。(6)はリズム・アレンジやホーン・セクションのライン、ギターのフレーズにスティーリー・ダンからの影響が色濃い。AORや80年代英国ポップを背景にしたparis matchの音楽は耳馴染みのよさが特徴だ。しかし、シャープな印象の単語が選ばれ、国際情勢をテーマにしたメッセージ性の強いものもある歌詞に注目すると、スムースさだけを志向しているグループでないことがわかる。