ずっと見ていた。いや、見ていることしかできなかった。
でも今お前は…俺の腕の中にいる。
俺と雅也と彼女、3人で行ったトラブルだらけの出張の後、
俺たちは正式に恋人同士になった。
今度こそ、一人で泣いていた彼女に手を差し伸べることができる。
あいつは俺の部下で、教育係という立場上仕事中もいつも一緒だ。
邪魔者の雅也は別の部署だし、
仕事で顔を合わせても俺の惚気に苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
ざまーみろ。
彼女が雅也の下についていた時の俺と同じ思いをさせてやる。
でも最近彼女が変によそよそしい。
会社にいるときは仕事以外の話をしないし、
雅也の前に至っては気を使っているのか、一定の距離を置いたままだ。
ってかお前、俺の彼女だよな?
もしかして、酔った勢いでうなずいた…とかじゃないよな?
素直になれない大人たちのちょっぴり苦いラブストーリー
シナリオ:七原みさ
イラスト:とじょさか