これまでの中原めいこの集大成の1枚。黒っぽい匂いを漂わせながらも、あくまでゴージャスでチープな「ポップス」。彼女の魅力が全開になって表れた作品といっていいかも。
自身の手による完全プロデュースで、コーラスアレンジも全曲自身が担当している。アレンジャーは、中原自身をはじめ、西平彰、中村哲、小林信吾、E. C. JONES。
「君の瞳に恋してる」な「Dance in the memories」で華やかにはじまり、 「What's going on」「鏡の中のアクトレス」ではハードボイルドな一面を見せ、「Infinite Love」ではおおらかな愛を歌い、「Don't be silly」では彼女のコケティッシュな魅力がちらりとみえ、 「Paradise Island」「Caribbean Night」「ビーチ・バーからの手紙」の連作は彼女の本領であるラテンテイストとリゾート感覚が溢れ出し、 「CASANOVA」で、シリアスな愛の横顔を見せピリッとしめて、ラストは大甘のラブバラード「In your eyes」でロマンチックに幕となる。 全体の流れもバランスも抜群。これ以上ない。実にコンパクトかつタイトにまとまっている。エンターテイナーだな、彼女。
また全篇でめいこのボーカルを凌駕せんとがんがんに攻めてくる坪倉唯子・杉本和世コンビのコーラスが実にソウルフル。 もちろんめいこもそれにまったく負けていず、このボーカルの主導権の奪い合いともいってもいい緊張感が、実にいい雰囲気を醸し出している。 「Caribbean Night」(早見優提供曲のセルフカバー)では、このボーカルの応酬がいっそう激しく、今作で白眉といっていい出来。