失われた音、失われた時間、日々の生活にある喪失と悲しみの連続
静かな不安と不確実性の世界に寄り添うピアノとシンセのざわめき
Goldmundによる2年振りの新作が完成しました
Hauschka、Dustin O’Halloran、そして坂本龍一と並ぶ、ピアノをベースにしたミニマルなアンビエント・ミュージックの作曲家としての地位を確立。今作『ザ・タイム・イット・テイクス』では悲しみに真正面から取り組んだ作品で、埃をかぶったようなピアノの音色/広がっていくシンセサイザー/空の輝きに彩られたストリングスのテクスチャーをゆっくりろ描くことで叙情的な世界観を作り上げています。それは、老朽化したピアノが時間という堀の向こうでやさしく鳴り響き、ペダルの音や機構の変化で演奏者の存在が明らかにし、見えないところから天使のような聖歌隊がゆっくり洗われる、荘厳的でありながら現実を直視した楽曲。わずかな音を素材に魔法のような壮大さを生み出すキース・ケニフそのものが作りだした感情的なリアリズムが存在します。